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死が2人を分つまで

第4章 危険な香り


イザークは何度もあの日を思い出す。
彼女の線の細さ。
形の良い唇。
思い出すだけで体が疼く。
もっと彼女を知りたい。

朝日で目がさめる。
今日ラクスが戻ってくる日だ。
そんなことを考えながら朝の用意を始める。

「おはようございます。お手伝いいたします。」

「あら、おはよう。よく眠れたかしら?手伝いは大丈夫よ、もうできるから。」

勧められた席に座って先に飲み物をいただく。

「おはよう、母さん、サラ。」

「おはよう」

「おはよう、サラがいるっていうのに。」

アスランはパジャマのまま寝癖のボサボサで来たのだ。

「あ・・。ごめん。」

「もう、ラクスと結婚したらどうなるのかしら。」

微笑ましい会話に自然と顔が緩む。

「パトリックおじさまは?」

「あら、すっかり仲良くなったのね。先に食事を済ませて今出かける用意をしているわ。」

「今日も議会に行くの?」

噂をすれば本人の登場だ。

「ああそうだ。」

「父上・・。おはようございます。」

「おはようございます、おじさま。」

「ああ、サラ、お前も議会に来るか?」

いきなりの提案に驚く。

「アスランは政治家に向いていないが、サラには才能を感じる。」

「でも、私は・・。」

「大丈夫だ、私の部屋にしか行かない。」

少し興味がある。未来ではどのように政治運営をしているのか。

「ぜひ、お邪魔いたします。」

「うむ、そんなにかしこまらなくていい。行けるか。」

「はい、すぐに準備して来ます。」

急いで部屋に戻って行くのをレノアは心配そうに見送る。

「あなた。いきなりどうしたのですか?」

「いいや、興味が湧いただけだ。」

「父上・・・。」

「アスランも来たいならこればいい。」

「・・・いいえ、遠慮しておきます。」

いつもなら絶対に誘わないだろうに。
昨日サラに言われて話をしたため距離が縮まったのだろうか。
少しだけ嬉しくなる。
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