第4章 危険な香り
「いらっしゃい!」
アスランとともに門を抜け玄関を向かうまでにレノアが迎えに来ていたみたいだ。
「初めまして、サラと申します。」
「レノアよ、もー、すごい楽しみにしていたのよ!さっ早くいらっしゃい。」
明るく朗らかな人だった。
ふと自分の母親を思い出す。
私がこの容姿で生まれなければ、お母様の笑顔が見れたのだろうか。
私の前では毅然とした態度を取ろうとしていたが、完璧に隠しきれず痛々しい思い出しかない。
「サラ、どうかしたの?」
心配そうにアスランが覗き込んで来る。
その問いかけに前を歩いていたレノアが振り返る。
「いいえ、少し母親を思い出して。」
一瞬悲しそうな目をしたレノアがすぐに優しい笑みを浮かべる。
「私のことを母親だと思えばいいわ。ね、なんでも頼っていいのよ。」
そう言われ優しく抱き寄せられる。
私はこの世界にきて心が弱くなった。
つくづくそう感じる。
「ありがとうございます。」
笑顔で答えると少し安心したような顔をした。
「パトリックはまだ帰って来てないの。申し訳ないんだけど、私も仕事があって、アスランに相手してもらってね」
「母っ、はい・・。とりあえず部屋に案内するよ。」
「ありがとう、ではレノアさんまた。」
「ええ、また後でね」
玄関に案内されてレノアと別れた。
「ごめんね、俺、ああ、っと僕あんまり女の人と関わる機会が少なくって、何がいいのかな?」
「ふふ、俺でいいのに。そうね、アスランは普段何をしているの?」
「俺は、その、機会いじりとか?プログラミングとかしてるかな?」
「普段はラクスと何してるの?」
「・・・。何してるかな?いつも何してるんだろ?」
真剣に考え込んでしまった。
この2人上手くっいっているのかしら、と不安になってしまう。
「あっ、今ラクスにプレゼントを作っているんだ。」
「何を作っているの?見てみたいわ。」
「でも、人に話すとみんな微妙な顔になってくんだ。」