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死が2人を分つまで

第4章 危険な香り


ピピピピ

「すまない」

イザークに連絡が来たようだ。

「はい、母上」

「イザーク。変わりはないかしら?こちらは無事シーゲルと合流した。」

漏れて聞こえて来る言葉が気になった。

シーゲル?この前の議員の初めて対面した日がフラッシュバックする。

『エザリア・ジュールだ』

銀髪のキリッとした女性を思い出す。

「あっ」

つながった。

初めて彼女を見た時の違和感、イザークは彼女の子供だ。
そして、確か彼女は過激派だったはず、ならばイザークも過激派である確率は高い。

「ええ、母上も気をつけて。」

会話を切り上げる。

「サラ、」

「ごめんなさい、私帰らないと。」

「サラ!!」

とっさに彼女を引き止めてしまった。

「サラ・・・。その。体調悪いだろ。嫌なら俺が出て行くから。今日は休んでいけ。」

「いいえ、ごめんなさい。」

イザークの顔見ないように部屋を出る。そのまま振り返らずにエレベーターまで早足で向かう。

「サラ!なら家まで送る。」

「大丈夫よ。」

できるだけ声を低く、冷たく突きはねる。

「・・わかった。また連絡するから、返してくれるよな?」

彼とは数回しか会ったことがないが、彼のような性格のものが下手に出ることは少ないことはわかる。
言葉で答えず微笑んで見る。
そして急いでエレベータに乗り込んだ。
エレベータが閉まる扉の隙間から見えた彼の表情が忘れなれない。
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