第3章 向けられる瞳
そっと優しく唇に触れる。
抵抗しないことを確認し、体を近づけ抱き寄せ、お互いに見つめ合った。
「イザーク・・。あっ、」
彼女の言葉を遮りもう一度唇を重ねる。
彼が熱っぽい視線を向ける。
しかし、サラは唇をキュッと結び、泣くのを我慢しているようだった。
後悔と絶望でイザークは青ざめる。
急ぎすぎた。
「すまない、サラ・・・。これは・・・。」
サラはイザークの胸に顔を埋めた。
「サラ・・・?」
この世界に馴染みすぎた。
私は何をしようとしていたのだろうか。
私は彼に惹かれているのだろうか。
幸せのハードルが上がってしまった。
いつからこんなにも弱くなってしまったのだろう。
彼を好きになったからだろうか。