第1章 出会い
先生と呼ばれていた男性が去って少女と二人っきりになった。
「そうだわ!美味しい紅茶がありますの、今用意させますわね」
女中がいるのだから裕福な家庭の子なのだろうか。
わからなことだらけだが、彼女からは純粋さしか伝わらず少しだけ緊張がほぐれた。
「ベットから降りれますか?」
「ええ」
返事をして体を動かそうとすると関節が軋んだ。
「いっ・・。」
一瞬顔を歪めてしまったものの、すぐに顔を作り直し少女に微笑んだ。
「無理してはいけませんは。そちらにお持ちいたしますわ」
片手で彼女を制す。
「いえ、問題ありません。そちらでいただきます」
心配そうに見つめる少女に大丈夫だともう一度微笑み席に着く。
「そう言えば、私挨拶もしていませんでしたね。私はラクス・クラインと申します。ラクス、とお呼びください。」
「よろしくお願いいたします、ラクス。」
「サラ・・・なんとおっしゃいますの?ファミリーネームは?」
「・・・・。お答えるることはできません」
なぜなら彼女には苗字がないから。
「お話したくないことは正直に行ってくださいね?」
優しくふわりと微笑む。まるで春の暖かい風のようだ。
きっと誰からも好かれるいい子なのだろう。
「いくつか質問しても?」
「もちろんですわ。」
紅茶を一口飲み口を湿らせる。
質問を一つ間違えれば私は殺されてしまうかもしれない。