第3章 向けられる瞳
「本当にいいのかい?」
「ええ、心配しないでください。」
昨日ラクスはコンサーっとの打ち合わせで家を空け、その代わりにシーゲルの見送りに空港に来ていた。
「別に専属のメイドは無理だが、ヘルパーを読んでもいいんだよ?」
「いいえ、お構いなく。ほら、シャトルの時間か近づいておりますよ、おじさま?」
いつもと違いいたずらっぽく笑ってみる。
「そうかな・・。しかし何かあったらすぐ連絡するんだ。」
「お時間です、シーゲル様」
付きの人が声をかける。
「ほら、スケジュールがあるんですから、心配しないで、お勤め頑張って来てください。」
「・・・。わかった、本当に本当に何かあったら連絡するんだからね、じゃあ行ってくるよ。クライン邸をよろしく。」
手を振ってシーゲルを見送る。
こんな見送りの形もあることを初めて知った。
この平和がいつまでも続けばいいのに。
シーゲルが見えなくなり、サラも繁華街へ行こうと踵を返した時、ずきっと頭が痛んだが一瞬で治った。
特に気にも止めず、空港のエレカ乗り場でエレカを拾い移動した。
「こっちかしら?」
アプリリウスで一番大きい本屋で一番紙の本が置いてあるらしい本屋を探す。
いまだに紙の本も根強く、作られる本は少ないが完全になくなった訳ではない。
文明が発達しすぎて、めまぐるしい思いをしたが、こうして変わらないものがあるのは落ち着く。
本屋にたどり着き本棚をから面白そうな本を探す。
気になる本が本棚の一番下にありしゃがんで本を手に取るり立ち上がった時、立ちくらみがした。思わずその場にしゃがみこんでしまった。
「えー、おねーさん大丈夫??」
顔をあげると金髪の男が立っていた。
「え、めっちゃ可愛いーじゃん。なになに??体調悪いの??じゃ、そこのホテルで休まない??」
人を身なりで判断してはいけないと思ったが、腕を捕まれぐいっとひっぱられ、反発した。
「結構です。」
まだ貧血っぽい症状があるものの弱さに付け込まれないように毅然とした態度をとる。
「えー、じゃ、そこでなんか食べていかない??」
掴まれた腕は振りほどいたが、今度は距離を詰められる。