第3章 向けられる瞳
「そうだな、ナチュルラルとコーディネーター、そんな単純な問題ではない。」
おそらく穏健派なのだろう女性が発言した。
「だが事実だ!」
「我々のそばにいるため、君は自分の立場を理解していないようだがね」
「ならばどうしろと?コーディネータの前で怯えていれば良いのですか?ナチュラルの方が劣っていると言い聞かせれば良いのですか?」
誰もが黙る。
「私は双方に優劣があるとは思いません。ですがここにいる皆様はそうではないみたいですね。」
「君が言いたいことはわかるが、そこまで単純に考えることはできないんだ。我々が宇宙にいるのもナチュラルに追いやられたからなんだ。」
「全てのナチュラルの総意だとおっしゃるのですか?」
「そうは言わないが、あながち間違いではないと思うがね。」
「・・・・。それではいつまで続くのですか?お互いに歩み寄らなければ終わりません。」
「綺麗事では政治はできんのだよ。子供の喧嘩ではないんだよ、お嬢さん?」
「歴史を振り返ってみてください。地域、国、人種が違うだけで人々はずっと争ってきました。今はそれがナチュラルとコーディネーターに今変わっただけです。」
サラから見たら、ここにいる人のほとんどが争う理由を探しているようにしか見えない。
もう戦争はこりごりだ。
「そこまでにしようか。」
シーゲルが切り上げる。
「サラに黙ってて欲しいと言われたから我慢してたがね、大人げがないのではないか?それにずいぶん私情が入っている人もいるようだ。」
現段階でシーゲルはプラントのトップである。
誰も反論しようとはしない。
「わかった、シーゲル。これではいつまでも食事が進まないしな。」
誰も食事をしないため初めの前菜で止まっていた。