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死が2人を分つまで

第2章 穏やかな日々


巨大なふらっぺを飲みながら、ラクスに連絡していないこと気づきタブレットの電源をつける。

ピコン!ピコン!ピコン!

大量の通知に驚く。

「どこに行きまいしたの!」
「連絡をしてください!」
「何かあったのですが!」

時間が今に近づくにつれてラクスも切羽詰まっているように見えた。
これ以上心配させては悪いと電話をすると、すぐにラクスが電話に出た。

「どこにいらっしゃるのですか?!今お父様にIDでどこにいるか調べてもらおうか考えておりましたのよ」

ラクスの言葉に苦笑いする。
私が生きていた時代はせいぜい蒸気船や機関車が出始めたばかりだ。
どうも未来は生きづらくなっている気がする。

「心配させてごめんなさい。お世話になってる身で言うのもなんだけれど、すぐにIDで居場所を調べられるのは困るわ。1人になりたい時もあるの・・・。何も言わずに出かけたのは謝るわ。」

「ごめんなさい。サラはどこもつかみどころがなくて、ふとした時どこかに消えてしまうんじゃないかと思って・・。」

「ごめんね、何も言わずに急に消えたりすることはしないわ。それより、私、1人で出かけたのはいいけど何をしたらいいのか分からないの、ラクス迎えに来てくれない?」

「はい!すぐ向かいますわ。どこにいますの?」

ラクスとの通話を終わらせる。

他にも通知があることに気づく。
イザークから一言だけ「ああ」と返事が来ていた。
ぶっきらぼうな、わざわざ文字にするまでもない返事は新鮮だった。

「私の時代は電報は出て来たけどまだまだ手紙が主流だったものね。こんなに実ない会話をわざわざ文字にするなんて」

気軽に送れる時代だからこそ話し言葉を送るのね。
面白い文化だ。

「サラ!」

ラクスが駆けてくると同時に周りがざわつき始める。

「ラクス?あなた注目されてるわよ?」

「私音楽活動をしておりまして、少し有名人ですの」

周りの人が集まってきた。

「いきましょ!」

彼女の手を取り人だかりをかき分け走り抜ける。

「サラ!」

息を切らしながらラクスが呼びかける。

「どう?巻けた?」

「ええ」

まだ息が上がっているようだった。

「こんなに走ったのは久しぶりですわ。」

「ええ、私も」

2人で広場の芝生に座り込む。
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