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死が2人を分つまで

第2章 穏やかな日々


「あ・・・。」

「ん?この隣かい?」
親切な男性がもう一冊楽譜を取ってくれる。

「ありがとうございます・・。」

後ろにはサングラスをした金髪の男性が立っていた。

「ピアノを弾くのかい?」

「ええ、昔習っていましたから。」

「そうか、私の甥もピアノが好きでね。君と同い年くらいかな?」

穏やかな口調で話しかけられる。

「甥っ子さんのために何か探していたんですか?素敵ですね。」

当たり障りのない返しをする。なんとなくこの男の人に関わるのは危険だと感じた。

「では、ありがとうございました。」

波風立てないように会話を終わらせ、男の元から離れた。

肩より少し長い髪の毛の少女が必死に背伸びをして楽譜を取ろうとしている姿にレイを思い出した。
いつもなら無視をしていただろうが、なんとなくほっとけなくつい声をかけてしまった。
まだ子供だと思っていた少女は思ったよりも大人の顔をしていた。
白い髪に白い肌、そして長いまつげまでも白く、神々しさを感じるほどであった。

どうやら驚かせてしまったようだ。
少女の頰がピンク色に染まる。
思わず笑みがこぼれた。
簡単な会話をして少女が離れていった。
しばらくレイに会っていないがこれくらいの年代の子はあれくらい大人びているんだろうか。
そんなことを考えながら、レイへのお土産は何にしようか選び始めた。

楽譜を買ったあと、どこかで休憩しようとレストランを探す。

「こーひー?」

コーヒーだけ提供しているのだろうか。

中に入ってみるがシステムがわからずとりあえず並んでみる。

「こちらどうぞー!」

元気よく店員が呼びかける。

「初めてなんですけど・・・」

「はい!ありがとうございます!」

「オススメを・・・・・」

目の前のメニューを見ても呪文にしか見えず逃げた。

「オススメですか?えーとっ、期間限定のこちらのチョコミントフラッペはどうですか?」

「では、それで!」

「サイズはどうされますか??」

「サイズ??大きいのを頂戴。」

とっさに答えてしまった。

大は小を兼ねると言うし・・。

お会計を済まし。

巨大なドリンクを渡される。水色の飲み物を警戒しながら飲む。

「!!!美味しい!」

思った以上の美味しさに目が輝いた。
昔はあまり甘い食べ物がなかったから。

ふと、現実に戻してしまう自分がいる。
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