• テキストサイズ

死が2人を分つまで

第2章 穏やかな日々


ラクスはサラがいつもと様子が違うことを一目で見抜いた。
黒い薄手の長袖に細身の七部丈のパンツ。
背中は少し深めに開いている。
ヒールが1センチほどしかない黒いパンプスにチェーンの赤いバッグを持つ。

「あらあら、いつもと雰囲気が違いますね?何かあるのですか」

「そう?パンツスタイルだからかしら?」

「いいえ、なんだか気合が入っているようですわ。」

髪の毛を高い位置で結びポニーテールにする。

「そうかしら?」

何事もなかったように返事をする。

「いってきます」

「ええ、お気をつけて。」

イザークと出会って一週間後、日本文化の講義の日だ。
この日は少し早めに出て図書館に行ってから講義を聞く予定だ。雰囲気が違うなんて・・。
私浮き足立っているのかしら。
悶々としているうちに大学に着く。

「ではお気をつけて。」

前回のように見送られながら大学の門をくぐる。

とりあえず、図書館よへ。
予約したおかげでスムーズに入ることができた。
部外者は一時間しか利用できないらしい。
急いで資料を探す。

「天皇家・・・・。」

菊の御紋がついた背表紙はかなり分厚い。
中を簡単に見てみる。
なるほど、私がいなくなった後の歴代の天皇家についても書かれている。
が、

「やっぱり私は公にされていないのね・・・。」

少しさみしいような気がする。

当時白すぎる肌と白髪、紫の瞳という要望から外国の血が混ざっているのではないかと疑いをかけられたそうだ。

母は命をかけ私が天皇の子であることを証明したのである。

「母は・・・。」

”出産とともの母子ともに亡くなり時の天皇はーーー”

文献では母私とともに出産の時死んだことになっていた。

「私を産んだばかりに、母も歴史から消されたのね」

今となってはアルビノは決して障害やはたまた特別な能力を持つわけではなく、確率的に生まれてくる場合があるということを知られてはいるが・・・。
気を取り直し次の本を探す。

歴史が進めば、私について何か書かれた文献が見つかるかもしれない。
/ 50ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp