第1章 出会い
「また会える?」
「また大学に来るんだろう?」
「ええ、来週の講義も聞いてみようと思うの。」
「ならまた来週だな。」
もっと話を膨らましたいのに、いつもどう話していたか思い出せない。
「では、また。あなたは忙しいのでしょう?」
正直にいうと帰りたくもあったし、帰りたくもなかった。
「不安だから大学まで一緒についていったやる。」
ぶっきらぼうな言葉の中にも優しさを感じた。
「ありがとう。」
素直にお礼を言うと、彼は顔を真っ赤にして歩き始めた。
「ただいま」
「お帰りなさい!」
ラクスが廊下から走ってきた。
「どうしたの?」
「心配してましたのよ!」
「もう、子供じゃないんだから。」
「夕食の準備ができましたの。今日の話ぜひ聞かせてくださいね。」
ダイニングには2人分の用意しかされてな買った。
「おじさんは?」
「今日はお父様が遅くなるみたいですの。だから先にいただきましょう。」
なんとなくラクスにイザークと会ったことは話さなかった。
講義を受けてずっと図書館にいたことにしといたのである。
これが2人の出会いであった。