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死が2人を分つまで

第1章 出会い


化粧直しをしている間にイザークはお会計を済ませてくれたみたいだ。

「お会計ありがとう。いくらだった。」

「いい、気にするな」

「でも・・。悪いわ、そんなの。」

「気にするな、俺が連れてきたんだ。さっ。」

スムーズにエスコートされ思わず手を取ってしまった。

「どうする、大学に戻るか?」

「どうしよう、図書館に行くつもりだったから。予定がなくなってしまったの。」

そうか、と呟く。

「お散歩でもしてみようかな」

「散歩?」

「最近来たばかりだから、歩いてみようかなと。」

どこか浮世絵離れをした彼女をこのまま1人にするのはいくらアプリリウスとはいえ危険だと思ってしまった。

「土地勘がないんだろう?キョロキョロしてるやつは狙われやすいぞ。」

「誰に?」

キョトンと顔を傾ける。
その姿が可愛くてつい赤面する。

「スリとか・・・。ナンパだってある!」

「すり?なんぱ??」

まるで宇宙語のように繰り返す。

「それは危険な人なの?」

イザークは思わず口をポカンと開けてしまった。
世間知らずそうだと思っていたが、ここまでとは。

「ごめんなさい・・。こちらではきっと常識だったのね。私そいういったものに疎くて。」

彼女が寂しそうにうつむくので急に悪いことをした気分になってしまう。

「スリは持ち物を盗むやつ。ナンパは・・・。とにかく危険な行為だ。」

「危険?」

「初対面で急に話しかけて、あわよくば何かしようとするやつだ。さっき絡んで来たやつみたいに下心のあるやつだ。」

「じゃあ、イザークもナンパ?初対面で話してるし、あなたについて来てしまったわ。」

クスリといたづらっこのように笑う。

「お、俺は違う!!」

思った以上に全力て否定してしまった。

「冗談よ」

柔らかく覗き込むよう笑う。
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