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死が2人を分つまで

第1章 出会い


「疲れたわね。」

「ええ、たくさん買いましたわ。」

2人が乗って来た車には乗り切らず、余った荷物は送ってもらうことにした。

「明後日にはIDができるみたいです。」

「早いのね。」

「これで色々な公共施設を利用することができますわ。そこで提案なのですが、アプリリリウス大学の図書館を利用してみてはいかがですか?大学は研究期間ですのでそちらの方がアプリリウス図書館より専門的な本があると思いますわ。あと、料金を払えば講義を聞くこともできますのよ」

「ありがとう、ぜひ活用して見たいわ。」

実はサラのIQはかなり高く、コーディネーターにも引けを取らないのである。
初めはこの世界の技術に困惑したもののすぐに適応できたのも彼女の地頭のよさがあるからこそである。
あまり過去にとらわれすぎてはダメね、ここで私が何ができるかを見つけないと。

「ただいま、ラクス、サラ。」

「お帰りなさい「お父様」「おじさん」」

薄手のコートをメイドにて渡し、夕食をとるためダイニングへ向かう。 
「さっき先生から連絡がきたよ。苗字をどうするかって聞かれたんだ、大事なことを決めてなかったね。」

「苗字ですか・・」

サラのフルネームは沙羅双樹宮である。
苗字などない。  

「苗字をお答えすることはできません。私は立場のあるものでしたから。もし今でも影響力があったとしたら誤解を招きます。」

半分嘘で半分本当である。

「そうか、困ったな。どうしようか」

「私たちで作ってしまうのはどうですか?」

ラクスが楽しそうに提案する。

「イザベルとか、ディオンとか?これは強そうですわね。アデル、アデルはどうですか!!」

「いい響きじゃないか。」

「とても素敵ですわ!どうですか?」

「ええ、気に入ったわ。アデルでお願いします。」

「わかった。アデル・サラでIDを発行しておくよ。あと、パトリックにも会って欲しいんだ。今回のことも渋々手伝ってくれたからね。」

「渋々ですか?」

「ああ、やはりナチュラルに対してあまり良くない感情を持っている人が多いんだ。悲しいことにね。今回私の頼みだからと渋々IDを作るのに協力してくれたんだがね。大丈夫君がどんな素敵な人物か僕はわかっているからね、パトリックも君を気にいるよ。」

シーゲルの言葉とは裏腹に歓迎されていない存在だということを私は再確認した。
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