【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第9章 おもいでのお菓子と…
「はぁ…」
グレイスの部屋を出て、ノクトの部屋に向かおうとする脚を一度止め、人通りの少ない所でオレは溜め息を一つはく。
先程の花冠をつけたグレイスは本当に可愛らしい姿だった。絵本に出てくるお姫様さながらだ。
グレイスはあれを宝物にすると言ってくれたが、思わず言葉が出なくなる程喜んでくれた様子こそ、オレだけの宝物だ。
あの表情が見れただけでも、心をこめて作った甲斐があったというものだ。
それにしても…
「自分で決めて言ったことだが…なかなか辛いものだな」
いつの頃からだったか…グレイスに対して立場を超えた感情を抱くようになったのは。
最初は、本当に純粋な家族愛に似たものだったと思う。
だが、いつの間にかオレを頼ってくれるグレイスの心に、
「だいすき」と微笑むグレイスの笑顔に対して、
それまでとは違う感情が混ざり溢れてきていると気付いた時には既に手遅れだった。
グレイスを、一人の女性として大切にしたい想い。
兄ではなく、一人の男性として愛されたいという想い。