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【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)

第9章 おもいでのお菓子と…


イグニスが部屋を出るのを見送ってから、そっと花の冠を手元へ降ろす。
改めて見ても、気持ちが和らぐような温かくなるような、そんな優しい色合いの冠だ。

これがイグニスの中の私のイメージなのかと思うと胸の奥が熱く、幸福感に満たされるようだった。


「…でも…あの言われ方じゃ全くの希望ナシ、か…」


ふさわしくない、力不足だって。
そんなこと、ないのに。

私が王女じゃなくて、普通の女の子だったらこんなこと言われないのに…。
…いや、でも普通の女の子じゃイグニスに出逢えてないか。

もし出逢えたとしても、きっとイグニスの頭の中はノクティス王子一人のことで一杯で、一般市民の私じゃ気にもかけてもらえなかっただろうな。
それくらい、イグニスが何をおいても私達兄妹のことを大切にしてくれているのはずっと前からわかってる。


「はぁ…」


『初恋は叶わない』なんて耳にするけど、恋心を自覚した途端に散るなんて、いくらなんでも短命すぎない?

てゆうか私、まだ告白すらしてないのに既に振られたくらいのこと言われた気がするんだけど…気のせい???
はぁ…辛いなぁ………。



それに、イグニスが言う、私にふさわしい相手って誰…?

インソムニアに住む貴族のご子息? それともアコルド?

もしくは………帝国関係者?

そういう人との結婚は、名目上はお姫様扱いかもしれないけど、本当に幸せなの?

………あぁ、好きな人と想いが通じ合って恋人同士になれる幸せを知らないまま結婚すれば、「こういうものか」くらいには思えるのかな…。

それならせめて、イグニスと一緒にいられる間は、王女として・妹分としてで良いから彼の特別でいたい。

「それくらいのワガママは許してよね? イグニス…」

ぼろぼろと流れ落ちる涙を拭うこともせず、大切な大切な宝物の花冠を胸に抱いて一人そう呟いた。

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