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【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)

第9章 おもいでのお菓子と…


「どういたしまして。

さっき『人の上に立つ人間として…』なんて話をしたが、そちらに関してはグレイスは今もう十分に頑張っているからな。

これからは、一人の女性としての自分も大切に育てていってほしいとオレは思う」

「もう…イグニスってば格好良過ぎ…。

私、いつもイグニスに支えてもらって、こんなにステキなプレゼントまでもらって…

十分イグニスに女の子として大切にしてもらってるよ…?」


今しがた自覚した自分の気持ちに少しでも気付いてもらえるように、想いを込めてイグニスの瞳を見つめ返す。

いつもの察しの良いイグニスなら何かしら感じ取ってくれるんじゃないかと期待を込めて。



でも…返ってきた言葉は僅かな期待も持たせてくれない程、シビアなものだった。



「そう言ってもらえるのは嬉しいが、オレはノクトの側付という立場だからな。

グレイスのことは本物の妹のように大好きだし、大切なのは本当だ。

だが、もし…もしも、グレイスかノクト一人しか助けられない・どちらかを選ばないといけないという状況になった時には、オレは必ずノクトを選ぶ。

だから、グレイスの相談役にはなれても、王子様になるには力不足だし、ふさわしくないんだ。

ノクトやグレイスが王子・王女として真っ直ぐ成長するのを助け、見届けるのがオレの役目で、
オレの立場はそれ以上にもそれ以下にでもなれるものじゃない」


真剣な顔でそう答えるイグニスの顔を見たら、たまらなく胸が痛くて苦しくて…力いっぱい自分の手に力を込めた、

…涙が零れないように。





そんな私の心中を知ってか知らずか「これからノクトにもこのケーキを食べてもらうんだ」と言ってイグニスは立ち上がってしまった。

部屋の出口へ向かうイグニスに私は咄嗟に声を掛ける。

「イグニス! この冠、本当にありがとう!
あと、今度のお料理の約束も楽しみにしてる!」

するとイグニスは眼鏡の奥にあるキレイな翠の目を細め

「あぁ。オレも楽しみにしてる」

そう、いつも通りの笑顔を返してくれた…。

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