第9章 おもいでのお菓子と…

「あ………えっ…？」
ち、ちょっと待って…突然のこと過ぎて全く頭が回らない…

手鏡の中には花冠をつけた私、
そのすぐ横には、この姿をとても愛しそうに見つめるイグニス。

さっきの『お姫様に』なんて言葉も合わさって
ドキドキし過ぎて心臓が飛び出しそう…

あまりのことに言葉が出なくて茫然としていたせいか、次第にイグニスの顔が不安そうになり

「すまない…気に入らなかったか？」

と冠を外そうとしてくるのが見えて大慌てで否定する。


「ううん！！　違う！　むしろその逆！

嬉しすぎて…びっくりしすぎて…フリーズしちゃってただけ…。


これ…本当に可愛いね…。
明るくて柔らかな色のお花たちに、所々生き生きとした生命力を感じさせる緑の葉も見えてて…

まるで、春の景色を切り取ったみたいにステキ…」

そこまで言って、鏡の中の私は耳まで真っ赤にしていることに気付いて…恥ずかしくなって視線を自分の膝へと落とした。