【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第8章 寄り添い
厨房の後医務室に寄り、保冷材を受け取ってグレイスの部屋に戻ると、グレイスはベッドの上に身体を起こし、一人絵本を眺めていた。
「待たせたなマチコ。何を読んでいるんだ?」
「おかえりイグニス、色々ありがとう。
絵本は…これだよ。昔からのお気に入りなの」
手元に目を向けると、それはいつかのお泊まりで読んだのと同じガラスの靴のお姫様の絵本だった。
絵本の最後、笑顔の王子様とお姫様をじっと見つめるマチコが気になって、ふと思ったことを聞いてみたくなった。
「あぁ、懐かしいな。マチコはどうしてこの絵本がお気に入りなんだ?」
するとマチコは大切そうに絵本を撫でながら答えた。
「それはね…
このお話、魔法使いのおばあちゃんが、自分の力を使って悲しんでるお姫様を笑顔にしてあげるでしょう?
そこが好きなの。
それがきっかけになってお姫様、王子様、お城の人、街の人…こんなに沢山の人が笑顔になれた。
私も、このおばあちゃんみたいな皆を笑顔に出来る、そんな魔法使いになりたいから」