【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第8章 寄り添い
イグニスは柔らかく目を細め、グレイスを安心させるように髪を撫でながらグラディオから聞いたという話を口にした。
どうやら、一昨日イリスをノクティスが連れ出したというのはイリスを庇うためのウソだったらしく、その真実をイリスから聞いたグラディオはノクティスのことを『根性あるじゃん』と褒めていたらしい。
「ノクトお兄ちゃん…そうだったんだ…。
良かった、少しでもノクトお兄ちゃんの優しさが伝わって…」
グレイスの表情が嬉しさからほっとほぐれる。
「はは、やっと笑顔になったな。
グレイスがノクトの優しさに気付いていたように、ちゃんと周りもこんな風に気付いて伝わっていくんだ。
だから…」
そこまで言って、イグニスはグレイスの両肩に手を置いてしっかり向き合ってから続けた。
「城の皆がグレイスがいつも人一倍勉強も訓練も真剣に取り組んでいる事は知っている」
「でも…そんなの別に、王家に生まれて、ここにいる以上当たり前のことだし…」
少し不満げに眉根を寄せながらグレイスが言い返す。
「いや、グレイスの頑張りは当たり前を十分に超えている。
元々お稽古事も真面目にこなす努力家ではあったが、テネブラエから戻って以降、一段と一生懸命になったな。
そんなグレイスを悪く言う人をオレは知らない。
グレイスはもっと自信を持っていいんだ」
真正面から賛辞の言葉を贈られ、面食らった様子のグレイスにイグニスはさらに続ける。
「インソムニアにいるとどうしても『王=魔法障壁で民を守る』という役割に注目が集まりがちだが、王家の仕事はそれだけじゃないだろう?
他国との外交交渉、国の経済・軍事に関わる判断や決定、沢山の公務…
王家に託されている役割は多岐に渡る。これを一人の人間がすべてこなすのは不可能だ。
だから、グレイスはグレイスが力を発揮出来るところで活躍すればいい。その為に勉強も頑張っているんだろう?
王家の人間のグレイスにしか出来ないこと、王家の人間でなければ、着くことすら出来ない話し合いの場だって沢山あるんだ。
それだけ、グレイスはルシスの人達にとって特別な人だ。
グレイスが生きていてくれる、そのこと自体がルシスの希望になっている」