【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第8章 寄り添い
「グレイス!!」
グレイスの纏う空気が一変したのを直感で感じたオレは一目散に駆け寄った。
支えた身体にはほとんど力が入っておらず、目線の合わない目からは大粒の涙が零れていた。
「い…ぐに、す…」
力なくオレの名前を呼ぶ声は、足元から崩れていくようにズルズルと地面の方へと落ちていく。
脱力したグレイスの身体は床にうずくまるような姿勢になってやっと止まった。
しかしよく見ると両手で頭を抱え苦しそうにふるふると小刻みに左右に揺らしていた。
「あた、ま…痛、い…。ぅ、う…うえっ」
頭痛を訴えたかと思った次の瞬間、グレイスは腕でオレを後ろに押しのけて嘔吐した。
オレに吐しゃ物がかからないように気を遣ったのだろう。
今はもう全身全く力が入らないようで、ギリギリ吐しゃ物を避けた所で冷たい床に身を投げ出している。
こんなに辛い悪い時まで人のことを気にする必要なんてないのに…とグレイスの頭を膝に乗せ、持ってきていたタオルで口元を拭ってやりながら思う。