【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第8章 寄り添い
入ってきたのは、グラディオとイグニスだった。
正直まだグラディオとは顔を合わせたくなかったと言わんばかりに無意識に肩がビクリと力む。
「おーグレイス。精が出るじゃねぇか。感心感心」
「おはようグレイス。体調はもういいのか?」
イグニスのその言葉に、不調の原因を作った張本人であるグラディオが続けて尋ねた。
「あ? 何だグレイスどっか調子悪いのか?
最低限の体調管理くらいちゃんとしろよ。
肝心の本人がしっかりしてなくて、王の盾や親衛隊・警護隊員がムダ死に、なんてこたぁオレはごめんだぜ」
(はっ? 今、何て………?)
今、よりにもよって、何でこのタイミングで、何でこの人はこうも無遠慮に人の心を抉るようなことを言うのだろう…
「おいグラディオ! お前何てことを…!!」
グラディオを咎めるイグニスの声がすごく遠くに聞こえる。
鼻の奥がツンと痛い。そう認識出来た時には目の前の景色が涙で大きく歪んでいた。
全身から力が抜けていき、指先は凍ったように冷たい。
模造刀がゴトリ、と音をたてて床に落ちた。
「グレイス!!」
その音に咄嗟に反応して駆け寄ってくれたイグニスに抱き止められて、私は何とか立位を保っていた。