【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第7章 もがき
この日の昼食は、時間をかけて何とか半量を食べることが出来た。
夕食は…ちゃんと食べられるかな…さすがに今回もまともに食べれないのはおかしいと思われるだろうな…
そんな心配をしながらダイニングに着くと、私の席のカトラリーが、他の二人と違ってスプーンだけしか置いていなかった。
それを不思議そうに見ていると、後から入ってきたお父さんに優しい声で話し掛けられた。
「グレイス、体調はどうだ?
身体が疲れているようだからグレイスの夕食は消化の良いリゾットにしてもらったんだ。
お前は昔から頑張りすぎたり、人の気持ちを考えすぎるところがあるからな。今回の体調もその辺りから来ているんじゃないか…?
悩みがあるなら、いつでも父を頼ってくれていいんだぞ」
「お父さん…!」
一国の王としてのお父さん。
その肩にかかる重責や、毎日多忙を極めていることを知っているだけに、自分の変化を気にかけ、取り計らってくれた細やかな配慮が嬉しくて思わず抱きついた。
「おやおや…
…すまないな、グレイス。
お前には王家の人間として、普通の家庭の子なら抱えずに済んだことを色々と経験させてしまって…」
お父さんの温かい手が頭を撫でてくれる。
「ううん…大丈夫だよ…。
私、優しくて強くて格好いいお父さんのこと大好きだから…。
ありがとう、お父さん…私、お父さんのような、人の力になったり、気持ちに寄り添えるような人になりたい…」
「はは…グレイスは今でも十分出来ているじゃないか。それに何よりお前はまだ子どもだ。
まだまだ当分は、私に可愛がらせてくれ」
お父さんの温かい言葉と腕の中で、幸せを噛みしめながら私は何度も大きく頷いた。
…ちなみに、この後少し遅れてダイニングにやってきたノクトお兄ちゃんが
「あ! グレイス元気になったの?」と私を心配してハグしてくれたけど、
本当は一緒に甘えたい気持ちを素直に言えなくてこっそりとお父さんにも擦り寄ってるのが見えたのは、ここだけの秘密。