【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第26章 執着
うつ伏せたまま、肌を撫で、髪を撫で、体温を与え、与えられ。
愛撫というよりは触れ合いに近いゆったりとした恋人同士の時間を過ごしていると、グレイスがポツリと言葉を零した。
「ねぇ…いつもあんな感じなの?」
「あんな、とは?」
「あの、女性店員さん…」
ぷい、と顔を枕に埋めて拗ねたように呟くグレイス。さっきまで幸せそうに揺れていた濃い青の瞳が見れないのが寂しく思った。
せっかくのデートでグレイスの心に影を落としてしまって申し訳なく思う反面、こうして不安な気持ちを素直に吐露してくれるのことに不謹慎ながら嬉しさも感じてしまう。
「どうだろうか。そもそも気にもしてなかったからな」
グレイスからの返事はない。安心させたくて優しく頭を撫でながらさらに続ける。
「グレイスが心配するようなことは何もない」
「グレイスが嫌ならもうあの店に行くのは止めよう」
ぴくっと肩が動いて少しだけグレイスの頭が持ち上がった。