【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第26章 執着
「別に…そこまでしなくても」
イグニスの気持ちは嬉しいけれど、元々彼のお気に入りだった場所を奪うようなことになるのは心苦しい。
「いいんだ。グレイスを少しでも不安にさせたくない」
「んー…」
本心なんだと思う。でも。
「やっぱりそのままで良いよ」
「…そうなのか?」
「うん。だって、お店変えても同じことでしょう」
「同じ? 何故だ?」
うつ伏せた状態から首をひねって見上げると、そこには本気で何故かわからないって顔をしたイグニスがいた。
うーんいつもはよく回る頭なのに。自分のこととなると鈍いんだなぁ。
「別のお店で、きっとまた別の人に好意寄せられる」
「そんなこと…」
「あーるーの。もう、わかってないなぁ」
お城でのパーティに参加するご令嬢からの機微には、私やノクトお兄ちゃんに影響が出る可能性があるから気を払っているのは感じられるけど、プライベートではこんなに無頓着だったとは思わなかった。無自覚も罪だわ。
まさかイグニス、自分が声を掛けられるのは王子の側付きという肩書きに寄ってきてるだけだと思ってる? そんな訳…そんな訳ないでしょう!?
「だって、イグニスは、私のイグニスは…」
こんなに整った顔をして、モデル並にスタイルも良くて、鍛えられていると一目でわかる逞しい上半身、そこに頭の良さを裏付ける次期宰相と噂される城内での存在感まで持っている。
でもそれも私やノクトお兄ちゃんの為に努力してくれたってことも、多くの人には見せていない溢れる程の優しさやお料理のセンス、愛情深さがあるってこと、これ以上誰にも教えたくない。この先他の女の子にこれが向くなくて考えたくもない。ずっと独り占めしたい。
だから─…
「イグニスはもっと自分の魅力を理解して」