【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第26章 執着
閉じ込められていた分、より強く香るシャンプーとその奥にあるグレイス自身の匂いに惹かれるようにうなじに吸い付き、風呂上がりの時とは違うグレイスの香りを鼻先で追い掛けた。
「え、あれ、も、もしかして嗅いでる…?」
「嗅いでない。…スーーーーッ」
「いや絶対嘘じゃんちょっとやめてやめてやめて…!」
「吸ってるだけだ」
「私猫ちゃんじゃないから! …いやそういう問題じゃなかった!」
じたばたと暴れるグレイスをわかったわかった、となだめてもう一度腕の中に落ち着かせる。互いの頬と頬が重なるように顔の位置をずらせば一応納得したのか「もう…」という声と共に力を抜いたようだ。グレイスの嫌がることなど何一つしたくないと思っているのについ気持ちが理性を追い越して求めすぎてしまう。気を付けなければ。
そんなことを考えながらグレイスの頬や唇の端に軽くキスを繰り返しているとリラックスしたグレイスの声が聞こえてきた。
「こうやってイグニスに後ろからぎゅってされるの、好きだよ」
「そうか」
隙間が空かないようにぴったりを肌をくっつけ抱きしめる。そこにある自分よりずっと小さく薄い肩に王族として求められる責務、それに伴う危険とプレッシャーが重くのしかかっているのかと思うと胸が苦しくなる。
──オレが絶対に守ってやるから。
その想いを胸に、そっとグレイスの肩に口付けをした。