• テキストサイズ

【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)

第26章 執着


そうして二人で一つの傘に入り、傘を貸した男性が気を遣わないように彼のペースよりゆっくりと周囲に集まっている市民の人達に手を振り返しながら館内へと進んでいった。

もう一つ新しく傘を持ってきてもらっても「グレイス、濡れてないよな?…ならいい。お前らで使って」と断っていたが、その時実は傘をいくらか私の方に傾けていたようで、ノクトお兄ちゃんの右肩は傘からはみ出てかなり濡れていたらしく、その一連の様子を撮影した写真がSNSでバズっていたという話を後日聞いた。
ルシスブラック色の傘が影になって顔があまり写っていなかったのが幸い。


我が兄ながらかなりのイケメンムーブでは。
本物の王子で外見も内面も(ちょっと口下手だけど)イケメンで、こんな紳士&レディファーストな振る舞いまでしたらキャーッて言いたくなるのわかる。この話題がルーナお姉ちゃんのところまで届いたら良いのになと真剣に願った。

──話を戻そう。
何が言いたいかと言うと、王族として命を削って国を守っているといえども市民に崇め奉られるのが当然、偉そうにふんぞり返っているのが当然、傘でも何で与えられて当然、傲慢な暴君が讃えられる…ではなく、
こうして市民に寄り添い、譲り与える姿勢が喜ばれる時代なのだ。一個人がいつでも全世界に情報を発信できる世界なら尚の事。

何より私自身そんなふんぞり返った人間にはなりたくない。

「なので、日傘は私が持ちます」

/ 589ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp