【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第26章 執着
「髪を上げると随分と印象が変わるな。白いうなじが魅力的だ」
下から覗き込まれ、美しい翠と極至近距離で目が合う。あぁ待って、肌に触れながらそんな風に見つめられたら心臓がうるさいくらい脈うって…ダメ、ムリ…!!
「やっ、やだ何言ってるの、ほら、もう行こう!?」
照れ隠しにイグニスに背を向けて一人玄関へと向かう。
それに、さっき首筋を撫でたイグニスの手つき、やらしくなかった!? ううん、そんなこと考えちゃう私がどうかしてるのかな…二人で肌を重ねるようになってから不意に変な気持ちになっちゃうことがある…はぁ。
心を波立てる雑念に蓋をして、駐車場に着く頃には頬の熱も引いていたと思うけれど、車が屋外に出た途端今度は強い日差しが肌を射した。
「うわ、まだ午前中なのにすごいね」
「暦上は9月になったがまだまだ真夏の気候だな。
城に車を停めて街中の店でも見ながら歩いて向かおうと考えていたのだが、店近くのコインパーキングを使うか」
「ううん、少しくらい歩いてお腹も空かせたいし。お城で大丈夫だよ」
それに明日からまた学校だし、イグニスの心遣いは嬉しいけど暑さにも慣れておかないとね。
お城の駐車場に着いて私をエスコートしながら車から降ろした後、イグニスが後ろのトランクを開けて何かを取り出した。
「外の日差しは強いからな。これを持っていこう」
「それ、日傘?」
「あぁ、王室献上品としてノクトに贈られたものだ」
ほら、とイグニスが指を指した先にはノクトお兄ちゃんの名入れが施されていた。日傘にしては珍しく大きなサイズで、一般的な雨用の長傘くらい。確か同じ物を私も貰った記憶がある。
「とはいえ、面倒くさがって実際にノクトが使ったことは今までないがな」
「うーん、それはそうだろうね」
雨が降ってもさほど気にせず「降ってきたな」で済ませるノクトお兄ちゃんがわざわざ日傘を使う想像が出来ない。
そういう私も日傘で片手塞がるのが煩わしくて使ったことはないのだけれど。