【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第26章 執着
「グレイスっ…オレもだ」
自分と同じだけの愛情を含んでいるとわかる声で名前を呼ばれ、きつく強く抱きしめられた。
背中にぎゅっとかかる圧を心地良く感じて、目の前のイグニスの体温を享受しながら幸せな目覚めを堪能した。
その間。
健康な男性に起こる朝特有の生理現象とは全く異なる理由で硬くなったそこを落ち着かせようとイグニスが必死になっているなど、グレイスは知る由もなかった。
しばらくして「そろそろ起きるか」と声をかけられ2人で身体を起こす。
当然のように抱き上げて連れて行こうとするイグニスの手を照れ臭さもあって止め「もう、自分で歩けるってば」と微笑んだ。
「そうか…。なら、これなら良いな?」
そ言うと少しばかり残念そうな顔をした後、イグニスに重なっていた手をするりと捕まえられて、柔らかく目尻を下げるイグニスの横顔を眺めながらリビングまで二人連れ立って歩いた。
今朝は昨日と違って一緒にキッチンに立つ。イグニスのご飯も大好きだけど、私の手料理も食べてほしいから。
穏やかな朝の時間を共有しながら今日の予定を二人で相談し合う。
昨日は私のリクエスト通り一日ゆっくりしたし、せっかくの日曜日、今日はどこかに出掛けられたら…
「…そういえば、イグニスってお休みの日って何して過ごしてるの?」
「休日か。グレイスやノクトが喜びそうなレシピを考えたり、仕事の下調べや、トレーニングをしたり…」
「待って待って、休日だよ? ちゃんと休んでる??」
付き合う直前にみんなで行ったFFリゾートでは、二人手を取り共に未来を歩む為に奮闘していたとは聞いていたけど、これはちょっと気を付けあげないといけないのでは…?
「問題ない。人にやれ、と言われてやるのと、自分がやりたくてやっているのとでは違うものだ。
オレはお前達兄妹が喜ぶ顔が見たいし、グレイスとの未来を手放すつもりは微塵もないからな。その為の努力は惜しまない」