【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第7章 もがき
その後、自室に飛び込んで何とか気持ちを落ち着かせようと試みたが、しばらくは全身の震えと涙が止まらなかった。
頭の中で先程イリスから聞いた言葉が繰り返される。
『レギス様の盾ならいいけど、ノクトの盾には絶対なりたくない』
自分の命を賭ける対象が、その価値に値するのか。
そう考えることは当然のことだ。
当たり前の権利ですらあると思う。
それが嫌ならその仕事を選ばなければいい。
人間とは、それぞれの希望や目標を持つことを許された生き物なのだから。
それなのに、アミシティア家の長男として生まれたが故に、王の盾として生きることを当然のように求められるグラディオの気持ちを思うと胸が痛む。
「人殺し!」そう叫ぶジェイクの声がまた脳内で鮮明に聞こえてきて、眉間に皺を寄せた。
レギス様ならいい、…じゃあ私だったら?
心の脆い部分を急に突きつけられて息が苦しい。
どうしたらいい? あとどれだけ頑張ればいい?
どうしたら『この人の為なら』と認めてもらえるような人になれる?
もし仮に、『真の王と、国王の役目はそれぞれ王子と王女に分けて担ってもらう』なんてことになって、
グラディオが私の盾になるって話になったら、その時あなたはどう思うの?
…いやだ。
知りたくない、聞きたくない、考えたくもない。
ベッドにうずくまってそんな答えのでないことを考えていたら
口中に酸っぱいものが上がってくる感覚があって、
慌てて自室のトイレに駆け込む。
「ぅ…げほ、げっほ…うぅっ…」
吐いた反動か、急に全身の力が抜けて脱力感が襲ってきた。
ふらつく身体で何とかベッドまで戻り、その後気が付いたのは夕食に呼ばれた声だった。