【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第7章 もがき
とある日、私は王都城でグラディオの妹、イリスと出逢った。
グラディオが応接室にイリスを連れていくところに偶然通りがかったので話を聞くと、
ノクトお兄ちゃん見たさに一人でお城まで来てしまったとか。
「へぇ…そうなんだ。
でもどうして急にそんなことしようと思ったの?」
何気なく単純な疑問を口にしたら、思いがけない返事が飛んできた。
「あのね、お兄ちゃんが『レギス様の盾ならいいけど、ノクトの盾には絶対なりたくない』って言うの。
だから、ノクトがどんな人なのか見に来た!」
「…!!」
無邪気な笑顔で、ためらいなく発された未来の王に対する当然ともいえる疑問に、私は頭を殴られた気分だった。
「ぃっ…イリス!! お前余計なこと言うんじゃねぇ!!」
「ぁー…あはは。そっか、そうだよね…大切なお兄ちゃんが仕えることになる人だもんね…気になって当然、だよね」
どろり、と心の底がざわついた感覚がした。
表情が引きつるのが自分でもわかる。まずい、抑えられない。
「あ、わ、私、行かなきゃいけないところがあるからここで…
それじゃあイリス、ゆっくりしていってね」
幼いイリスに今の自分の表情を見せたくなくて、何とかその言葉だけを残して私は足早にそこを離れた。