【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
「…ふぅ。こんなものだろうか?」
「うん、綺麗に乾いてるよ。助かっちゃった」
意外と乾かす間に腕が疲れるんだよね、とグレイスが後ろを振り向いて笑う。肩口をサラリと流れる黒髪が美しくて無意識に手が伸び、自分にはない柔らかな髪の手触りを堪能するように一房そっと手櫛を通した。
「そうだろうな。長い髪を綺麗に保つのは容易なことではないんだな」
「うん、でもパーティの時にドレスアップするにはロングヘアの方が都合良いみたいで。
それに…」
恥ずかしそうにすっと目線を前に戻して「イグニスがよく頭や髪を撫でてくれるから…出来るだけ綺麗にしておきたくて」と呟いた。
その頬は湯上がりの熱以外のものが足されて赤くなっている様子が愛しさと愛情を募らせる。
湯上がりに見た時よりも赤みを増したまろい頬が、大きく実った林檎のように美味そうで、啄むようにちゅ、ちゅうっ、とそこへ吸い付けば、くすぐったそうに肩を竦めて、でも嬉しそうに「ふふっ」と息を弾ませる様子に男心を擽られる。
──可愛い。
オレの恋人は今日もこんなに可愛い。
溢れ出る思いのまま後ろからぎゅっとグレイスを抱きしめて、女性らしい華奢な身体や柔らかさを体感して、肩に顔を埋めて溜息を一つ。
「…はぁ。
ダメだな。こうしているとまたグレイスを求めてしまいそうになる。昨日したばかりなのにな」
「えっ……と、あれって連日続けてしたらダメなものなの…?」
「いいや、そういうわけではないが、グレイスの身体が辛いと思ってな」
ましてや昨日が初めてだったのだし、と言うとポンッと腕の中のグレイスの体温が上がった。耳の上も赤い。昨日の情事を思い出しているのか。否が応にもオレの記憶も引き出され、勝手に下半身に熱が集まる。頼むからこれ以上オレを煽らないでくれ。
「我慢…は、しなくていいよ…」
真っ赤な顔をして「身体はもう平気だし」、とか「たくさん労ってもらったし」とぽつぽつ言葉を零すグレイス。
そして──
「あの時間は私にとっても…幸せだから」
────トドメを刺された。