【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
今日のせめてものお礼にとグレイスに一番風呂を譲られ、一足先に湯上がりをリビングで涼んでいると、グレイスがドライヤーを片手に戻ってきた。
「イグニスごめん、うるさくなっちゃうけどこっちで髪の毛乾かしていいかな?」
わーリビング涼しい〜、と湯上がりの熱がクーラーで冷えていくのを喜んでいる、公の場では決して見られないリラックスしたグレイスの様子が微笑ましい。
二人分の湯上がりの湿気が籠もった洗面所ほさぞ蒸し暑かったのだろう。
「あぁ、もちろん構わない。向こうは暑かっただろう。
そうだ、もし良ければ今日はオレがグレイスの髪を乾かしても良いだろうか?」
「えっ。ダメじゃないけど…自分でやるよ?」
「いいや、オレがやりたいんだ」
グレイスからドライヤーを受け取り、イスへと座らせる。
後ろへ回って見ると、長く伸びた毛先からはまだ重たそうに水が滴っており、先にもう少し拭いた方が良さそうだ。
グレイス肩にかかっているタオルを手に取り、そっと頭皮や毛束をきゅ、きゅ、と包んでいく。
「すごく優しく拭いてくれてるよね、ありがとう」
「当然だ」
自分の髪に対しては時間優先で雑にゴシゴシとタオルで擦ってしまうが、ここもグレイスの身体の一部なのだと思うと丁寧に扱ってやりたくなる。
ある程度水気が取れたところでドライヤーを手にしようとしたところ、その前にアウトバストリートメントなるものを付けるのだと教えられる。それを手で付けた後、全体に馴染ませる為に目の荒い櫛で髪を梳かすのだが、上から一気に通そうとすると絡まりに引っかかることがあるので毛先の方から徐々に…と。
それからようやくドライヤーの風で乾かしていくのだが、オレの短い頭髪とは異なり、長い髪が重なる頭皮を乾かしていくのはなかなかに時間のかかる工程だった。
そして、最後は冷風を当ててキューティクルを整えて仕上げとしているらしい。