【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
「───…だな。わかった、グレイスにも確認しておく。
ではまたな」
頭上から聞こえる柔らかな声に、少しずつ意識が覚醒する。
優しいけど芯があってよく通る、大好きな声。
うっすら瞼を開けると、ちょうどスマートフォンでの通話を終了させたイグニスと目があった。なぜか私が下から見上げる形で。
「………あれっ?
もしかして私、寝ちゃってた!?」
頭を左右に動かせば、テーブルには朝食で使ったお皿やカトラリーが置いたまま、反対側はイグニスの身体が見えた。
いつもキッチンもお部屋も綺麗に使うイグニスが片付けを面倒くさがって置いたままにしているとは考えにくい。きっと、イグニスが食べている間に私が寝落ちしてしまってそのまま膝枕してくれていたから動けなかったんだろう。
ひぇ…私、朝ご飯用意させて、食べさせてもらって、その上自由に動くことすら制限させて…申し訳なさすぎる!!
「ご、ごごごめんね!? せめて片付けだけでも私が…ぅわっ!?」
「危ない!」
慌てて立ち上がったものの、不意に感じた下半身の違和感に思わず身体が大きくバランスを崩してふらついたところをイグニスが咄嗟に支えてくれた。
「大丈夫かグレイス、脚を捻ったりしていないか?」
「う、うん…イグニスが助けてくれたお陰で何ともないよ」
しっかりと身体を抱きとめてソファへと降ろしてくれた後、今までと違う、骨盤辺りが緩んだような感覚に驚いて身を固くしていると、心配そうにこちらを覗き込むイグニスと目があった。
「痛みが走ったか…?」
「あっ、ううん、痛くはなかったよ。
ただ何だか違和感があって変な体勢になっちゃっただけ、本当だよ」
だからそんな顔しないで、とイグニスの眉の寄った眉間をそっと人差し指で撫でた。
「ん、あぁ…とにかく、グレイスは身体を休めていてくれ。
昨晩、あんなに頑張ってオレを受け入れてくれたんだ。そのお返しに今日一日くらいどれだけ甘やかされても罰は当たらない」
優しく身体を抱き寄せて「そうだろう?」と人を骨抜きにするような甘い声が耳元に響く。
後ろから抱きかかえたまま私をゆっくりとソファへと降ろし、そっとイグニスの大きくて温かい手でお腹の下の方を労るように撫でられる。
昨夜の行為の余韻を大きく残したそこがゾク、と疼いたことは決して口に出せそうになかった。