【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
散々好き勝手口内を舐めあげていった後。
「…ん。
いつも以上にグレイスの口の中が甘くて美味かったな」
満足そうに「ごちそうさま」と言うイグニスを恨めしそうに見上げても全く意に返してないようだった。
「…何言ってるの。イグニスの朝ご飯はこれからでしょ? ほら、これ以上冷めないうちに早く食べて」
ガッチリと回されている腕から抜け出しながらそういうと、少し寂しそうにしながらイグニスはナイフとフォークをとってようやく自分の分のフレンチトーストに手を付けだした。
その様子を確認して突然のキスで脱力した身体と、やれやれという想いを一緒に預けるように軽くイグニスの肩にもたれて目を閉じる。
それから間もなくして、カトラリーをテーブルに置いた音がしたのが気になって薄目を開けると、左手でお皿を持ち上げ、右手に直にフレンチトーストを掴んで食べているイグニスが目に入った。
「あれっ…なんで?」
「こうして食べる方がオレの肩が揺れなくて良いだろう」
「そんな、気を遣わなくて良いのに」
「いいんだ、グレイスには少しでも心地良くすごしてほしいから」
そう言って、こちらの顔を覗き込むようにしながらイグニスが微笑む。長くスッと伸びた綺麗な指先が甘いシロップや粉砂糖で汚れることなんて少しも厭わない。いつも自分のことより人のことばっかり気遣って。
そんなイグニスの優しさに甘え過ぎかな、と一抹の懸念が過るも、隣に座る彼の体温と満腹感から来る眠気に引っ張られるように身体を預けて目を閉じた。