【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
「わ、美味しそう…!」
「そうか。沢山食べてくれ」
自然と溢れた感想に、イグニスが嬉しそうに微笑んだ。
一人暮らしを始めて、自分で料理をすることが増えたからこそわかる。
料理は単純に味だけじゃなくて見た目もすごく大切。
そして、こうやってひと手間をかけることは、後片付けのことまで考えると実は結構面倒なのだと。
視覚的にも愛情がたっぷり込められたとわかる朝食。
ふわふわの柔らかそうな生地をイグニスがカットしていく。単に慣れている、と表現するには上等過ぎる程滑らかに動く所作と、それに似合う知的に整った彼の横顔が、美しく盛り付けられた料理と相まって映画のワンシーンみたいで惚れ惚れする。
(ずっとずっと、想い続けてきた大切な人。
昔から素敵な人だったけど、月日を重ねるごとにどんどんと魅力と輝きを増していく。
この人が私の恋人…婚約者だなんて。
信じられない…夢じゃない、よね?)
急に不安になってイグニスに気付かれないようにこっそり自分の内腿を抓った。
ちゃんと痛かった。良かった。
切り終わってお皿から目を上げたイグニスがこちらを見て何かに気付いたように「あ」の形に薄く口を開けた。
え? まさか一人百面相してたのバレた?
そんなに表情だらしなく緩んでた?
「グレイス、腰の後ろにクッションを挟んだ方が凭れやすくて良いだろう。気付くのが遅くなってすまない」
そんな私の間抜けな心配を他所に、気付くのが遅くなってすまない、とスポッと背中とソファの背もたれの間にクッションを入れ込んでくれた。
「…ありがと」
見た目も中身もイケメン過ぎるのイグニス…
その優しさに堪らず顔を両手で隠して天を仰いだ。