【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
…そうは言いつつも、キッチンで勝手知ったる我が家状態でスムーズに朝食作りをするイグニスの様子を見ると、私もあまり人のことは言えないのかもしれない。
ずば抜けて記憶力も良くて手際も良い。イグニスが何でも出来すぎちゃうし、またそれを嬉しそうにやってくれるから…仕方ないよね、と完全な責任転嫁をした自分の思考に自分で呆れてやれやれと目を閉じた。
しばらくすると、キッチンから牛乳と卵が焼ける甘い匂いがふんわりと漂ってきた。
(いい匂い…これはフレンチトーストかな?)
食器棚の扉が開閉するパタンパタンという音やカトラリーが重なるカチャンという音に目を開けると、お皿を持ってキッチンから出てくるイグニスが見えた。
起き上がってダイニングテーブルへ向かおうとしたところを「そのままそこにいろ」とイグニスに留められ、二人分の朝食を持ったイグニスが隣に座り、美味しそうな黄金色の焼き目がついたフレンチトーストを一口サイズに切り分け始めた。
「あ、それくらい自分で…」
「いいから」
四角いプレート皿に乗せられたフレンチトーストには粉砂糖でうっすらと雪化粧がされていて、その脇にカットバナナとキウイ、それと小皿にはメープルシロップ、イチゴジャム、ブルーベリージャムが並んで彩りを添えていた。