【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
--翌朝--
何となく感じる朝の気配に、ぼんやりと意識が覚醒してくる…と、同時に「気のせい」では片付けられない程の痛みと違和感が腰から股にかけてせり上がってきた。
(あー…、これは)
自覚した痛みに眉を顰め、身体を丸めるようにシーツの中でもぞりと動くと、背中に何かの重みを感じた。気になって薄目を開けると、そこで心配そうな顔をしたイグニスと目が合った。
「おはようグレイス。身体はどうだ…?」
そう言いながら、イグニスの大きくて温かい手がそっと腰を撫でてくれる。ついさっき感じた重みは背中に添えてくれていたイグニスの腕だったみたい。
「ん…と、大丈夫、だよ」
ほんとはあんまり大丈夫じゃないけど、イグニスに気を遣わせたくなくて何ともないふりをしてみた。
だって昨晩の行為で、逸る気持ちを抑えて痛みが少しでも軽減されるよう、時間をかけて手を尽くしてくれたのだから。彼が気に病む必要は全くない。
だから出来るだけ何ともないふりをしたかった、けど。
「…無理をするな」
痛みで身体が強張っているぞ、とため息を一つつかれてしまった。
「いつも優しく周りにも気を遣えるのはグレイスの良いところだが、オレの前ではもっと遠慮せず言えば良い。
…いや、」
言ってほしいんだ。オレが、と囁いたイグニスの瞳が何もかもを受け入れるような愛しさのこもった色で見つめてくれる。
優しくて気遣い屋さんなのはイグニスこそなのに。
それに…
「それに甘えすぎたら私、ダメ人間になっちゃいそう…」
「はは、オレはそれでも構わないぞ」
冗談だか本気なんだかわからない調子でそう言って、子どもをあやすようにポンポンと頭を撫でながらイグニスが身体を起こした。
「何か朝食を用意しよう。リクエストはあるか?」