【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
「イグニス、すごい汗…」
「ん…? あぁすまない気付かなくて」
グレイスの肌に落ちた汗を指先ですっと拭った後、イグニスは手の甲で雑に自分の額に浮かんだ汗をごしごしと払う。
いつも『人の上に立つ人間の身嗜みはこうであるべき』と生きた手本のように整った身嗜みに涼しい顔を浮かべ、周りのこと、特に王子と王女のことに関しては気にし過ぎるくらい気にして世話を焼くイグニスがこんなに余裕のない姿を見せるなんて。
先刻まで挿入の痛みに気を取られてばかりでグレイス自身も周りが見れていなかったが、余裕がないのはイグニスも同じだったのだと気付く。
「ごめんねイグニス…ずっとその状態でいるの、辛いんだね…?」
「いや、そんなことは…」
「ウソ。すっごい我慢、してるじゃん」
汗を噴き出し、何かを必死に堪えるように眉根を寄せている表情を指摘すれば、イグニスは困った様子で口元だけは何とか取り繕って微笑みを作った。
「続き…して良いよ」
「グレイスの身体に負担を掛けたくないんだ。オレのこと、なら…気にしなくて良いから」
「その気持ちはもう十分伝わってるから…」
これまでの行為が、十分すぎる程に優しく丁寧に、いかに心を砕いて時間をかけたものなのか、全く性知識のないグレイスにもそれは伝わっていた。
それに加えて自分から「イグニスのものにしてほしい」と誘った時、愛撫をしている時、そして今挿入をした時、それぞれ毎回冷静を装うイグニスの瞳の奥に隠しきれない強い欲と喜色が滲んでいるのが見えていたから。
「この後は…イグニスと繋がった痛みごと、私に刻み込んでくれたら良い」
「ぐ、ぅ…グレイス、頼むからグレイス、これ以上オレを煽らないでくれ…!」
グレイスの言葉に対してイグニスは切なげに顔を歪ませ、口内からは奥歯をぎりり…と噛みしめる音が出た。
その強張りを解きほぐすようにグレイスはそっとイグニスの頬に触れる。
「いいの…。
イグニスが私を求めたいっていうその気持ちごと受け止めたい」
目の前の喉仏がごくり、と大きく上下する。
「−−~~ッ、辛かったらちゃんと言うんだぞ…!」