【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
「寂しい思いも沢山させてしまったと思うが…これから先はずっとオレの気持ちも、オレの未来もグレイスと一緒だからな。
もう悲しませて泣かせたりなんてしない。約束する」
オレの言葉に嬉し涙を滲ませながらこくこくと頷き答えたグレイスがしばし視線を彷徨わせた後、何か言葉を発しようと唇を何度も薄く開けたり閉じたりするのが見えた。
どうした?、と目線で問いかけてグレイスの言葉を待っていると、じわりと目尻を色づけた瞳に見つめられる。
恥じらうように伏し目がちに開かれた瞼からは、曲線的なまつ毛の影が目元を縁取り、奥ゆかしい美しさと男を惹き付ける艷やかな色が共存していた。
「イグニス…あの、わた、し、」
「うん?」
何故かひどく緊張をして身体が萎縮しているのかいつも以上に華奢に見えるグレイスの様子に、一体どうしたのだろうという心配と、グレイスが不安に思うことなど全て取り除いて甘やかしてやりたいという庇護欲と愛情が湧き上がる。その為にも続きの言葉を辛抱強く待った。
「わたし、と…」
「あぁ」
「えっと…っ、その………
最後まで、して…ほしい」
「…、グレイス…?」
意を決したような強い意志を宿した瞳がこちらを向く。
一拍おいてから言葉の意味を理解し、背中を撫でている手がピタリと止まる。
その瞬間 ドクリ、と。
自分の心臓が大きく跳ねて、鼓動が早くなるのがわかった。
言った当人のグレイスは首まで真っ赤にして手元は小刻みに震えている。
「どうしたんだ急に…グレイス、決して無理して急ぐ必要はない。
誰かに何か言われたのか? オレのことなら気にするな、まだずっと待つつもりで…」
「ううん、誰に言われたでもないよ。
私が…そうしたい、の」
グレイスがオレにネックレスを贈ったあの夜、パーティ会場で見つめ合い踊る二人の心に灯る想いが招待客全員に露見してしまえば良い、
国の為にある命だとしても、愛しい人を想う心の火だけは決して消しはしない、いや消すことなど不可能だと、狂おしい程に燃え上がる感情を自覚したあの日のことを思い出したと言う。
「だからね、イグニス…
私…身も、心も、イグニスだけのものになりたい…」