【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
「覚えててくれたの…? それで、ネックレスを…?」
驚きに瞳を瞬かせて見つめてくるグレイスに「そうだ」と頷く。その言葉を受け取った彼女の目の淵には涙の粒が滲み始めた。
恋人同士になる約一ヶ月前、「料理の相談に乗ってほしい」という名目でグレイスの家に行った時に強請られた印。
嬉しい申し出ではあったが、公に出来ない枷をグレイスにかけるのは気が進まなかったし、そんな日陰の関係だけで満足するつもりはなかったから一度は断った。
ネックレスと共にグレイスが教えてくれた、首に着けるアクセサリーの意味は束縛・独占。
「これで、いつでもオレの存在を感じられるな?」
「うんっ…! ありがとう、イグニス…っ」
ほろり、目尻から溢れる雫を優しく指の腹で拭っていると、グレイスが静かに話し始めた。
ルシスの王女として国の為に生まれ、国の為に人生を削り、国の為に死んでいく。
それが生まれながらに定められた自分の役目なのだと頭で理解をする一方で、胸を締めつける恋心に大きく揺れていたあの頃。
そんな息苦しさの中で、口外出来ない罪を晒すことになっても、何かしらのモノ一つで良いから縋りたかった。心だけは本当に愛する人と繋がっていると感じられるものが欲しいと思っていた。
満たされない激情が溢れて苦しかった時もあったが今が幸せで改めて嬉しい、と。
当時からのオレへの気持ちの大きさを懸命に語ってくれるグレイスの姿に胸を熱くして、彼女の背中を優しく撫でる。
「今はもう恋人同士でお父さんも公認だもんね」
素直で、
可愛くて、
愛情表現が豊かで、
愛しくてたまらないオレの大切な恋人。
オレとの未来を選んでくれたことに、決して後悔はさせないと再度深く胸に刻む。