【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
マンションへ帰宅してすぐの玄関で。
「グレイス、すまないが大きいサイズのごみ袋を一枚持ってきてくれないか」
着いて早々イグニスにそんなことを言われて「?」と感じながらもキッチンから取ってきたそれを渡すと、靴を脱ぐよりも先にジャケットから腕を引き抜き、あろうことか見るからに上等そうなそれをそのまま雑にごみ袋の中へと放り込んだ。
「えっ!? 何してるのイグニス!
そんなことしたら皺になったり型崩れしちゃうよ!」
「余計なニオイの付いたものをグレイスと過ごす空間に持ち込みたくなかったからな。こうして袋の口を縛っておけば大丈夫だろう」
驚く私を他所に、イグニスはそのままシャツのボタンも外して袋へと入れていく。
洗面所に入ったらスラックスもそこへ入れると言う。
「えぇぇ…気持ちは嬉しいけど…」
ノクトお兄ちゃんが焦がしたフライパンなどの日用品もきちんと焦げ落としで再生させるように、ゴミ山のような部屋に落ちていたシャツのボタン一つだってきちんと拾い上げて付け直したりして、物を大切にすることを私達に教えてくれたイグニスが衣類をこんなぞんざいに扱うなんて…。
「気にするな。物事には優先順位がある。オレがこうしたいんだ」
そう柔らかく笑って、「先に風呂を借りるぞ」と足早に洗面所へと入って行ってしまった。
ジャケットやシャツがぐしゃぐしゃに入れられた袋を手にしながら横を通り過ぎていくイグニスを一抹の申し訳無さを抱きながら見送った。
でも…「好き」や「愛してる」と言葉で言われるのももちろん嬉しいけれど、こうやって態度で示してくれるのも正直嬉しいと思ってしまった。
そんな彼の姿と気遣いを見て、私自身もパーティの空気感を纏ったまま格好でリビングに入って寛ぐ気にはなれなくて、髪に大量に付いているヘアピンを外したりメイク落としをして時間を潰し、お風呂上がりのイグニスと入れ違いになるようにすぐ洗面所へと入った。