【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
イグニスも私も、人当たりの良い笑顔の仮面は捨てて、今日一番の甘い笑顔で見つめ合って、手を重ねた。
その瞬間、騒がしくしていた女性達の声が一瞬で止む。
あちらはあちらの女の勘で、これがただの形式ばったエスコートでないことに気付いたのかもしれない。
(悪いけど、誰にも譲る気はないから)
やや棘のように刺さる視線を感じながら、一段一段ゆっくりとイグニスの手を借りながら下りていく。
久しぶりに触れた指先から伝わるイグニスの体温が嬉しくて、それを確かめるようにしているとついスローペースでの移動になってしまっていた。
それでも当然のように歩幅を合わせてくれるイグニス。長い脚がほんの僅かずつしか動いていかない様子は何だか少し可愛らしかった。
足元から目線を上げると、「早くここに戻ってきたかった」と言うように幸せそうに目を細めるイグニスと目が合う。
あぁ、なんて愛しい人。
例え大勢の女性に囲まれていようとも何も心配することなんてなかったんだ。