【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
歯切れ悪く言葉尻を濁していると、会場を一瞥したお父さんが得心がいったというような表情を浮かべた。
「あぁなるほどな。
スキエンティア、今すぐイグニスにこちらへ来るように伝えてほしい。
私が呼んでいる、と周りに聞こえるように言ってやれ」
「承知致しました」
今来た道を戻るスキエンティアの背中を戸惑いながら見送っていると、お父さんに声を掛けられる。
「確かにあれを見たままでは帰れんな」
「お父さん…」
「これぐらいのことしかしてやれなくてすまんな。
お前達のことを信頼していないわけではないのだが、早々すぐには公表できないことをわかってほしい」
申し訳なさそうに微笑むお父さんに「十分だよ。ありがとう」と笑顔で返す。
いくら私とイグニスが幼い頃から一緒にいる仲の良い関係だといっても、恋人とのそれとはまだ別物だろうから。
クラスメイトに「付き合ったけど、何か合わなかったから別れた」なんて気軽に言えるフツーの十代の恋愛とは違う。
イグニスと付き合うようになったからといって、一人暮らしを止めて戻ってきなさいとも言われない。
ちゃんと自分達で決めた将来の約束が守れるのか確かめなさいと信頼してくれている証だと思う。
それでいて、こうして気を配ってくれて。
本当に、十分過ぎるくらいだと思う。