【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
高座の自分の席に上がってしばらく、私は会場全体を見るふりをしながら、実際はずっと視界の端にイグニスの様子を映していた。
最低でも二回り程度は歳の離れた海千山千の男性達に囲まれても容易に腹は探らせない社交場に適した余所行きの笑顔を浮かべて存在感を放つ彼はさながらデキるエリートビジネスマン。いや、それ以上に生まれ持ったものか、お城で暮らす中で身につけたものか、内から溢れ出る程の気品は背筋をピンと伸ばし堂々と立つ姿勢と相まって会場の誰よりも眩しく見えた。
私の隣で自然体の笑顔を向けてくれるイグニスが大好きなのはもちろんのこと、こうして外でお仕事を頑張っている姿もすごくすごく心をときめかせてくれる。
イグニスが具体的に何を話しているかは残念ながらここからは聞き取れないけど、今しがた何かを発言した後にその場がわっ、と沸いて場の雰囲気を変えたのは遠目にも伝わってきた。
まだ高校卒業して間もない18歳だというのに、歳上相手にも臆せず自分の意見を口にして場をコントロールするイグニス…文句なしに格好良い。
さすが次期宰相候補。
私の、彼氏。未来の…旦那様。
(ま、でも、ノクトお兄ちゃんの前であの顔したら「いますぐその他人行儀な顔ヤメロ」って言われそうだけどね…ふふ)
実の兄と、本当の兄弟のような距離感で過ごす二人を想像してそっと口角が上がる。
そんな楽しい気持ちでいた刹那、私の心を大きく波立たせる光景が目に入ってきた。