【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第25章 証
数人の招待客に囲まれながら歓談という名の情報収集をしている中で時折りグレイスの方へ目線をやっていると、人の列が途切れたタイミングで高座へと移動していく姿が見えた。
階段を上がった先にあるそこは、レギス陛下、ノクト、グレイスの席しか設けられておらず、ホールと階段の境には警護隊員も立っているので自由に立ち入れる場所ではない。
(あちらへ移動したのなら、余程の事がない限り声も掛けられないだろうし、ひとまずは安心だ。
あとはこちらを何とかしなければ…)
心の中で溜め息を一つつく。
先程から招待客たちは「どことどこの家の縁談が決まった」とかそんな話の流れで二言目には「うちの娘と会ってみないか」と入れ替わり立ち替わりに何度も言ってくる。それはもう聞き飽きる程に。
しかもそれは、ノクト宛ではなくオレ個人に対して。
去年まではここまで露骨ではなかった筈だが、大方城の中での評価が上向きなオレの話を耳にしての態度だろう。
オレの評価がレギス陛下のお耳にまで届いていたと知った時は身体が震える程の喜びだったが、この一年全身全霊の自己研鑽をしたのはこんな話を期待してでは決してない。
しかしこれはオレの対外的な評価が高まったことの裏付けでもあり、将来的にグレイスの伴侶として胸を張って隣に立つ為に、何より王女としてのグレイスの結婚が国民に祝福されるものとなるのに必要不可欠なことなので不本意ながら聞き流す。
「申し訳ありませんが、私にはもう心に決めた女性がおりますので」
その話に続きはないという意志を込めて伝えるものの、お構いなしに無遠慮に相手はどんな女性なのだ、まだ君は若いのだから色んな女性と触れ合うべきだなどと言われる。一体どんな立場からものを言っているのか。厚顔無恥とはまさにこのことだ。