【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
寝室から二人一緒に手を繋いで歩き、薄っすらと朝日の漏れるリビングに立つ。
「…何か、すごい新鮮」
「ふ、確かにそうだな」
これまで何回もイグニスとここで過ごしたことはあったけれど、朝特有の静かで澄んだ空気の中二人でいることは、前日から一続きの時間を共有していることの証明でもあって、今更ながらにドキドキした。
(いくら普通の家庭じゃないからって、高校生の頃から一人暮らしだなんて改めてすごい経験させてもらってるなぁ。
でもその家庭環境と、イグニスが何度も何度も諦めずに愛を伝えてくれたからこそこうして二人だけの時間を過ごせてるんだよね…)
そう思ったら、何だか急にイグニスに触れたくなって、朝日を取り込む為にカーテンを開けて回っている広い背中に後ろからそっと抱きついた。
「ん…? どうしかしたか、グレイス」
優しく鼓膜を揺らすイグニスの甘い声で心が温まる。
あぁ、この感情の名前は…
「幸せ、だな…って思って」
「そうか」
一言そう返したイグニスが手を止め振り返り、私の腰に腕を回す。
「奇遇だな、オレも今同じことを思っていた」
そう言いながらイグニスの右手はするりと私の顎先を掴んでクイと上を向かせる。
見上げた先には、夏の朝日を取り込んでペリドット色に輝く美しく大好きな瞳。熱を持って見つめてくるその瞳から目が離せないでいると、顎先に添えられた手から伸びた親指が誘うように私の下唇をゆっくりと左右に撫でる。
その意図を理解して瞼を閉じ、柔らかな朝の日射しの中で私達は唇を重ねた。