第24章 カレシとカノジョ

「わ…すごい、筋肉…」

シャツを捲り上げて上半身が裸になったオレを見てグレイスは目をぱちくりさせながら肌に触れてきた。

「イギーの、努力の証だね…」

そう言って慈しむように胸元や腹部を撫でてくる。
ただゆっくりと優しく指の腹や手のひらが触れているだけなのだが、オレの身体を労るように辿る指先の動きが、グレイスの掛けてくれる言葉の一つ一つから、ひしひしと愛情が伝わってきて、ドクドクと体温を上げるような十分な愛撫になってくる。

「私の為に頑張ってくれて、本当にありがとう」

その言葉と共にスリ、と胸に頬を重ねられた瞬間、その感触に思わず腰がゾクリとした。

こんなに近くで触れ合えるようになるなんて。
諦めの悪いオレの悪あがきとも言える過去ごと愛してもらえるなんて。
願っていた以上に満たされたこの幸福を決して手放すまいとそっとグレイスの背中に腕を回した。そこにある愛しい体温にオレからも触れたくて。



その後も、確かにオレがグレイスにしてきたようにゆっくりと肌を撫でたり、柔く乳首を指で挟んだり、赤く滑らかな舌で舐めてきたり…
その感触はもちろんのこと、幼い頃から精神的に大人びていたグレイスが、つい先日まで愛撫の「あ」の字も知らなかった無垢なグレイスが、オレの乳首に吸いついているという信じがたい光景に、目眩さえ覚えた。
強すぎる視覚からの刺激に促されるように、これまで乳首など一度も弄ったことのない身体が続けざまに与えられる愛撫に反応し、勝手に欲と熱を含んだ息を吐き出してしまう。