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【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)

第24章 カレシとカノジョ


「…えっ、え? それってどういう…?
最後って、何?」

真剣な表情はしつつも、怖がらせないよう優しく肩を抱きながら伝えた言葉の意味はいまいちグレイスには伝わっていないようだった。
オレは心の中で一つ息を吐いてから答えた。

「最後、というのはセックスをする、という意味だ。
そこまでは絶対にしないと約束する。その前段階までの行為を、グレイスへの愛情表現の一つとして許してはくれないか」

「セッ…!?

ぁ、ご、ごめんね、私、そういうの疎くって…」

「気にするな。グレイスのこれまでの暮らしを考えれば無理のないことだ」

その単語でグレイスは一気に耳から首までもを赤くした。
世間一般的に高校生にもなってのこの反応は少々珍しい部類に入るのではないかと思うが、思い返せば舌を絡ませるキスにも驚いていたくらいだ。
城で暮らしていた時は一冊の本の購入一つから全てに検閲が入り、スマートフォンのフィルタリングは最早年齢にそぐわないのではと思う程に厳重なもの。
ほんの数ヶ月前までそんな生活を強いられてきたのだから、こういう分野に知識や免疫がないのも無理はない。


戸惑うグレイスを見て、果たしてこの感情を正直に吐露して良かったのか、と後悔の念が頭を過る。
口に出して伝えてしまったら、優しいグレイスは断れないのではないか、そんな懸念がなかった訳ではない。

今からでもまだ遅くはないだろう、「今のは聞かなかったことにしてくれ」と伝えようとしかけた時、グレイスが震えるような声で呟いた。

「ぃぃ、よ、
イグニスがしたいなら、しても…」

「いや、無理をしなくて良いんだグレイス。
こういうことは、もっとお互いの心の準備が出来てからにしよう。こうしてお前を抱きしめているだけでもオレは十分幸せだから」

自分の生涯をかけて愛したいと誓った女性から不安に唇を震わせながらこう言われて、少しも胸が高鳴らなかったと言えば全くの嘘になるが、辛うじて「あぁそうか」と言葉通りに受け取ってしまう程冷静さを欠いてはいなかった。

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