【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
照れくさそうにするグレイスの反応を可愛らしく思いながら食事と片付けまでを終わらせ、ローテーブルに置いてあるレンタルショップの袋を手に取った。
「グレイス、この後は何をして過ごそうか。
借りてきたDVDもまだいくつかあるが…」
「うーん。映画も良いけど…イグニス、ちょっとこっち来て座って」
ソファに腰掛け笑顔でぽんぽん、と自分の隣の座面を叩くグレイス。
何か話でもあるのかと思い、そこへと腰を下ろし「どうかしたか?」と声を掛けると、オレの左腕にぎゅっと腕を回して甘えるように身を寄せて一拍間を空けた後、こう言葉を返してきた。
「ん~ん、どうもしないよ。
ただ、やっぱりイグニスとはこうして何もしていなくても、一緒にくっついてるだけで幸せだなー…って確認してるだけ」
「グレイス…」
何と、何と嬉しいことを言ってくれるのだろうか。
こみ上げてくる愛しさに、触れ合うのが腕だけでは物足りなくなり、グレイスの脚を抱え上げてオレの膝の上でお姫様抱っこの体勢になってもらった。
オレの腕の中で瞳を閉じて幸せそうに頬を寄せるグレイスの前髪をそっとかき分けて額にキスをしてやれば、輝く星空の瞳を覗かせながら柔らかく微笑み、
「ありがとう、イギー」
と懐かしさのある響きを耳へと届けてくれた。
「随分と久しぶりだな、その呼び方は」
「そうだね…ケジメってことで、言わないようにしてたから」
過去に、オレへの想いを抱きながらもそれを口にすることが叶わなかった頃、その代わりに、とグレイスが密やかな想いを込めて呼んでくれていたという愛称。
グレイスのその気持ちを知ってから呼ばれるのは初めてで、より心に伝わるものがあった。