【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
イグニスが行き先からサプライズまで完璧に用意してくれた幸せいっぱいの1ヶ月記念のデートからしばらく、私は毎日慌ただしく過ごしていた。
理由は、7月第2週から始まる期末テスト。
「グレイス、そこまで根を詰めて勉強しなくても」
少しでも試験勉強中の私の負担を取り除けるようにと夕食を作りに来てくれたイグニスに心配そうに声をかけらる。
でも、不甲斐ない結果を残す訳にはいかない、今回は特に。
どうしてかというと…
「そういう訳にはいかないよ。
だって、イグニスと付き合うようになってから成績が落ちたなんて、イグニスの為にも思われたくないもの」
強い意志を込めてそう答えれば、イグニスは少しだけ驚いたように目を見開いた後、すぐにふわりと目元を柔らかくして微笑んだ。
「そんなことを考えてくれていたのか。ありがとうグレイス、嬉しいよ」
イグニスの大きくて温かい手が頭を優しく撫でてくれる。
その温もりに少し肩の力が抜けて、私もイグニスに微笑み返した。
「私の落ち度でイグニスとの関係に水を差されたくないし、成績不振から『もう年に一回しかデートしちゃいけません』なんて絶対に言われたくないんだもん」
ちょうど七夕の季節柄に合わせて彦星と織姫の例えをツンと尖らせた唇で口にすれば、お互い ふふっ、と笑みが零れた。
「グレイスにプライベートで会うのを1年で1日だけと制限されるなんて、想像するだけで耐え難いな」
「そんなの…、私もだよ」
恋人同士になってまだそれ程日が長いとは言えない私達だけど、こうして会える時、会いたい時に、
顔を見て、触れ合って、素直に想いを伝えあえる日常は既に手放し難いものへとなっていた。
「そうならないように、ちゃんと頑張るね」
「あぁ。グレイスのことは信じているから大丈夫だ。
ただ、くれぐれも身体だけは大事にしてくれ」
「うん、ありがとう。イグニスもね」